
制御システムの状態空間解析について説明する前に、従来の制御理論と現代の制御理論との違いをここで議論することは非常に重要です。
従来の制御理論は完全に周波数領域アプローチに基づいていますが、現代の制御システム理論は時間領域アプローチに基づいています。
従来の制御理論では、線形かつ時間不変の単一入力単一出力(SISO)システムのみでしたが、現代の制御システム理論を使用すると、非線形かつ時間変動の多重入力多重出力(MIMO)システムの分析も容易に行うことができます。
現代の制御システム理論では、安定性解析と時間応答解析がグラフィカルおよび解析的方法で簡単に実行できます。
現在、制御システムの状態空間解析は、単一入力単一出力システム、多重入力多重出力システム、線形および非線形システム、時間変動および時間不変システムなど、すべてのタイプのシステムに適用される現代理論に基づいています。ここでは、現代制御システム理論における状態空間解析に関連するいくつかの基本的な用語について考察します。
状態空間解析における状態:これはt = t0での最小の変数セットであり、t ≥ t0での入力に関する知識とともに、任意の時間t ≥ t0でのシステムの挙動に関する完全な知識を提供します。
状態空間解析における状態変数:これは動的システムの状態を決定するのに役立つ最小の変数セットを指します。状態変数はx1(t), x2(t)……..Xn(t)で定義されます。
状態ベクトル: 与えられたシステムの完全な挙動を説明するためにn個の状態変数が必要な場合、これらのn個の状態変数はベクトルx(t)のn個の成分とみなされます。このようなベクトルは状態ベクトルと呼ばれます。
状態空間:x1軸、x2軸 ………xn軸を持つn次元空間を指します。
線形かつ時間不変のシステムの状態空間方程式を導出しましょう。
複数の入力と複数の出力を有するシステムを考えます。このシステムにはr個の入力とm個の出力があります。
ここで、r = u1, u2, u3 ……….. urです。
m = y1, y2 ……….. ymです。
ここで、与えられたシステムを説明するためにn個の状態変数を取りますので、n = x1, x2, ……….. xnです。
また、入力ベクトルと出力ベクトルを以下のように定義します。
入力ベクトルの転置、
ここで、Tは行列の転置を表します。
出力ベクトルの転置、
ここで、Tは行列の転置を表します。
状態ベクトルの転置、
ここで、Tは行列の転置を表します。
これらの変数は以下の式によって関連付けられており、これらは状態空間方程式として知られています。
分解:これは与えられた伝達関数から状態モデルを得る過程を指します。現在、伝達関数を3つの異なる方法で分解することができます。
直接分解、
直列またはシリーズ分解、
並列分解。
上記のすべての分解方法において、まず与えられた伝達関数を微分方程式(動的方程式とも呼ばれる)に変換します。微分方程式に変換した後、逆ラプラス変換を行い、分解の種類に応じてモデルを作成します。任意の伝達関数を状態モデルで表現することができます。電気モデル、機械モデルなど、様々なタイプのモデルがあります。
A、B、C、Dを用いた伝達行列の表現。伝達行列は、出力のラプラス変換を入力のラプラス変換で割ったものと定義します。
状態方程式を再度書き、両方の状態方程式のラプラス変換を取り(初期条件をゼロと仮定)、
次のようになります。
ここで、Iは単位行列です。
今度はX(s)の値をY(s)の方程式に代入し、D = 0(つまり空行列)とすると、
行列の逆行列は、余因子行列を行列式で割ることで置き換えられます。これを再記述すると、
|sI-A|は、0に等しいとき特性方程式と呼ばれています。
上で述べた特性方程式の根は、行列Aの固有値または固有値と呼ばれます。
固有値に関するいくつかの性質があり、それらは以下の通りです。
任意の正方行列Aとその転置Atは同じ固有値を持ちます。
任意の行列Aの固有値の和は、行列Aのトレースに等しいです。
任意の行列Aの固有値の積は、行列Aの行列式に等しいです。
スカラー量を行列Aに掛けると、固有値も同じスカラー量で掛けられます。
行列Aの逆行列を求めると、その固有値も逆数になります。
行列のすべての要素が実数の場合、対応する固有値は実数か複素共役ペアとなります。
一つの固有値に対応して一つの固有ベクトルが存在し、次の条件を満たす場合 (ek × I – A)Pk = 0。ここで、k = 1, 2, 3, ……..n。