ヴィーデマン・フランツの法則は、物質内の自由電子が多少自由に動く材料の熱伝導率(κ)と電気伝導率(σ)との関係を示す法則です。
熱伝導率(κ): 材料が熱を伝導する能力の度合い(測定値)です。
電気伝導率(σ): 材料が電気を伝導する能力の度合い(測定値)です。
金属では、温度が上昇すると自由電子の速度が増加し、それにより熱伝導が増大します。また、格子イオンと自由電子の衝突も増加します。これにより電気伝導率が低下します。
この法則は、材料の熱伝導率における電子の役割と材料(金属)の電気伝導率の比が温度に直接比例することを定義しています。
この法則は、1853年にグスタフ・ヴィーデマンとルドルフ・フランツによって報告されたものです。彼らは、異なる金属において同じ温度での比がほぼ同じ値を持つことを報告しました。が異なる金属でも同じ温度ではほぼ同じ値を持つことを報告しました。
そのためには、均一な等方性の材料を仮定します。この材料に温度勾配をかけるとします。熱流は温度勾配とは反対方向に伝わります。単位時間当たり単位面積あたりの熱流は熱流束であり、温度勾配に比例します。
K → 熱伝導率係数(W/mK)
K = Kphonon + Kelectron; 固体中の熱伝導はフォノンと電子によるものです。
ここで、熱伝導率係数の式を導出します。熱流が高温から低温へと流れると仮定します。金属板に温度勾配があるとします。
cv → 比熱
n → 単位体積あたりの粒子数
λ → 衝突の平均自由行程
v → 電子の速度
式(1)と(2)を比較すると
自由電子のエネルギーは
式(4)を式(3)に代入すると
定容理想気体の比熱は
式(8)を式(6)に代入すると
次に、電場Eを適用した金属の電流密度を考えます。
J = σ E ; オームの法則
よって、正しい形式のオームの法則は以下の通りです。
衝突間の平均自由行程と平均時間が存在します。
e → 電子の電荷 = 1.602 × 10-9 C
τ → 衝突時間または平均時間:電子が散乱する前に移動または進行する平均時間。
vd → ドリフト速度:衝突時間中の電子の標準速度。
式(11)を式(10)に代入すると、電気伝導率(ドゥード伝導率)は以下のようになります。
電場がない状態で金属内で電子が動く場合、分配定理は以下の通りです。
式(13)からmを得ると
式(14)を式(12)に代入すると
式(6)と(15)からKとσの値を得ました。
ここで、比