RLC回路を考えます。この回路では、抵抗、インダクタ、キャパシタが並列に接続されています。この並列接続は、電圧供給VSによって供給されます。この並列RLC回路は、直列RLC回路とは全く逆の特性を持っています。
直列RLC回路では、抵抗、インダクタ、キャパシタを通過する電流はすべて同じですが、並列回路では各要素間の電圧は同じで、各要素のインピーダンスに応じて電流が分割されます。これが並列RLC回路が直列RLC回路と双対関係にあると言われる理由です。
供給源からの総電流ISは、抵抗性、誘導性、容量性の電流のベクトル和であり、単純な数学的な合計ではありません。これは、抵抗、インダクタ、キャパシタを通過する電流が互いに位相が一致していないため、算術的に加えることはできません。
キルヒホッフの電流法則を適用します。これは、ある接点またはノードに入り込む電流の合計が、そのノードから出る電流の合計に等しいというものです。
Vは供給電圧です。
ISは総電源電流です。
IRは抵抗を通過する電流です。
ICはキャパシタを通過する電流です。
ILはインダクタを通過する電流です。
θは供給電圧と電流の位相差です。
並列RLC回路の位相差図を描く際、電圧を基準として使用します。各要素間の電圧は同じであり、他の全ての電流IR、IC、ILは、この電圧ベクトルに関連して描かれます。抵抗の場合、電圧と電流は位相が同じなので、電流ベクトルIRは電圧と同じ位相と方向で描きます。キャパシタの場合、電流は電圧よりも90度先に行きますので、ICベクトルは電圧ベクトルVに対して90度先に描きます。インダクタの場合、電流は電圧より90度遅れますので、ILベクトルは電圧ベクトルVに対して90度遅れて描きます。そして、IR、IC、ILの結果となる電流ISを電圧ベクトルVに対する位相差θで描きます。
位相差図を簡略化すると、右側に示す簡略化された位相差図が得られます。この位相差図を使用してピタゴラスの定理を適用し、次の式を得ます。
並列RLC回路の位相差図から、以下の式を得ます。
IR、IC、ILの値を上記の式に代入すると、
これを簡略化すると、
並列RLC回路のインピーダンスZの式では、各要素にはインピーダンス(1/Z)の逆数であるアドミタンスYがあります。並列RLC回路を解く際には、各枝のアドミタンスを求め、それらを足し合わせることで回路全体のアドミタンスを求めることができます。
直列RLC回路ではインピーダンスが考慮されますが、並列RLC回路ではその逆であり、アドミタンスが考慮されます。インピーダンスZには、抵抗RとリアクタンスXという2つの成分があります。同様に、アドミタンスにも導電度G(抵抗Rの逆数)と感度B(リアクタンスXの逆数)という2つの成分があります。したがって、並列RLC回路のアドミタンス三角形は直列インピーダンス三角形とは完全に逆となります。
直列RLC回路と同様に、並列RLC回路も特定の周波数、つまり共振周波数で共振します。この周波数では、誘導リアクタンスが容量リアクタンスと等しくなりますが、直列RLC回路とは異なり、並列RLC回路ではインピーダンスが最大になり、回路は純粋な抵抗回路のように振舞い、回路の電力因数が1になります。
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