「インダクションモーターのトルク方程式」というタイトルの記事では、既に発生するトルクとその対応する方程式について検討しました。ここでは、インダクションモーターの最大トルク条件について説明します。インダクションモーターで生成されるトルクは主に3つの要因に依存しています:ロータ電流の大きさ、ロータとモーターの磁束との相互作用、そしてロータの力率です。モーター動作中のトルク値の方程式は以下の通りです:

RCネットワークの全インピーダンスの位相角は常に0°から90°の範囲内です。インピーダンスとは、電子回路要素が電流の流れに対して示す抵抗を表します。スタータ巻線のインピーダンスが無視できる場合、供給電圧V1が一定であればE20も一定となります。

発生するトルクは、式(4)の右辺が最大化されたときに最大値に達します。これは、以下の分母の値がゼロになるときです。
ここで、

したがって、動作条件下で各相のロータ抵抗が各相のロータリアクタンスと等しくなるときに、発生するトルクは最大値に達します。sX20 = R2 を式(1)に代入すると、最大トルクの式が得られます。

上記の式は、最大トルクの大きさはロータ抵抗には依存しないことを示しています。
もし が最大トルクに対応するスリップ値を示すものとするなら、式(5)から:

したがって、最大トルク時のロータ速度は以下の式で与えられます:

最大トルクに関する以下の結論は、式(7)から導き出されます:
ロータ抵抗からの独立性: 最大トルクの大きさはロータ回路の抵抗には依存しません。
ロータリアクタンスとの逆比例関係: 最大トルクは、停止状態でのリアクタンスX20と逆比例します。したがって、トルクを最大化するためには、X20(そして結果的にロータインダクタンス)を最小化する必要があります。
ロータ抵抗による調整可能性: ロータ回路の抵抗を調整することで、任意の目標スリップまたは速度で最大トルクを得ることができます。これは、スリップsM = R2/X20におけるロータ抵抗によって決定されます。
異なる条件下でのロータ抵抗の必要性:
停止時に最大トルクを得るためには、ロータ抵抗は高い値であり、X20と等しくなければなりません。
動作条件下で最大トルクを得るためには、ロータ抵抗は低い値であるべきです。