誘導電動機の滑り(s)は、回転子の速度と回転磁界の同期速度の差を測る重要なパラメータです。滑りは通常、パーセントで表現され、以下の式を使用して計算されます。

ここで:
s は滑り(%)
ns は同期速度(rpm)
nr は実際の回転子速度(rpm)
通常の滑り範囲
ほとんどの誘導電動機の場合、通常の滑り範囲はモータ設計と用途によって異なりますが、一般的には0.5%から5%の間です。以下に一般的なタイプの誘導電動機の典型的な滑り範囲を示します。
標準設計の誘導電動機:
滑りは通常、0.5%から3%の間です。
たとえば、50 Hzで動作する2極誘導電動機の同期速度は3000 rpmです。通常の動作条件下では、回転子速度は2970 rpmから2995 rpmの間になります。
高始動トルク設計の誘導電動機:
滑りはやや高く、通常1%から5%の間です。
これらのモータは、ポンプや圧縮機などの高始動トルクが必要な用途向けに設計されています。
低速設計の誘導電動機:
滑りは一般に低く、通常0.5%から2%の間です。
これらのモータは、重機械やコンベヤーなどの低速・高トルク用途向けに設計されています。
滑りに影響を与える要因
負荷:
負荷が増加すると、回転子の速度が低下し、滑りが高くなります。
軽負荷では滑りは低く、重負荷では滑りは高くなります。
モータ設計:
異なる設計や製造プロセスは、モータの滑りに影響を与えます。たとえば、高効率モータは通常、滑りが低いです。
供給周波数:
供給周波数の変化は同期速度に影響を与え、その結果滑りにも影響を与えます。
温度:
温度の変化は、モータの抵抗と磁気特性に影響を与え、それによって滑りに影響を与えます。
まとめ
誘導電動機の通常の滑りは、モータ設計と用途によって異なりますが、一般的には0.5%から5%の間です。滑りの理解と監視により、モータが最適に動作し、システムの効率と信頼性が向上します。