 
                            同期モータは負荷に関わらず一定の同期速度で動作します。ここでは、負荷変動がモータに与える影響を検討してみましょう。同期モータが最初に力率が先行している状態で動作していると仮定します。この先行する力率に対応するベクトル図は以下の通りです。

軸上の負荷が増加すると、ローターは一時的に減速します。これは、モータが電力線から追加の電力を引き出すのに時間がかかるためです。つまり、ローターは同期回転速度を維持していますが、負荷要求の増加により空間的な位置で「遅れ」ます。この過程でトルク角δが拡大し、これが誘起トルクの増加を引き起こします。
誘起トルクの方程式は以下の通りです。

その後、増加したトルクによってローターが加速し、モータは再び同期速度を達成します。しかし、この復旧はより大きなトルク角δで行われます。励磁電圧Efはφωに比例しており、フィールド電流とモータの回転速度に依存しています。モータが一定の同期速度で動作し、フィールド電流が変わらない場合、電圧|Ef|の大きさは一定になります。したがって、以下のように結論づけることができます。

上記の方程式から、出力Pが増加すると、EfsinδおよびIacosϕの値もそれに応じて増加することが明らかになります。以下の図は、負荷増加が同期モータの動作に及ぼす影響を示しています。

上記の図に示されているように、負荷が増加すると、jIaXsの量が徐々に増加し、V = Ef + jIaXsという方程式が依然として有効です。同時に、アーマチュア電流も上昇します。力率角は負荷変動に伴い変化し、徐々に先行から遅延へと移行します。
要約すると、同期モータの負荷が増加すると、以下の重要な観察結果を得ることができます。
同期モータが処理できる機械的負荷には限界があります。負荷が継続的に増加すると、トルク角δは臨界点に達するまで増加し続けます。この時点で、ローターは同期から外れ、モータは停止します。
引き出しトルクは、同期モータが定格電圧と周波数で同期を維持しながら生成できる最大トルクとして定義されます。通常、その値は全負荷トルクの1.5倍から3.5倍の範囲です。
 
                                         
                                         
                                        