誘導電動機は、電磁誘導の法則に基づいて動作する広く使用されている交流モータの一種です。以下に誘導電動機の動作原理について詳しく説明します。
1. 構造
誘導電動機は主に2つの部分から構成されています:ステータとロータ。
ステータ:ステータは静止部で、通常は層状鉄心とスロットに埋め込まれた三相巻線で構成されています。三相巻線は三相交流電源に接続されています。
ロータ:ロータは回転部で、通常は導電性バー(アルミニウムまたは銅)とエンドリングで形成され、スQUIRREL-CAGE構造をしています。この構造は「スQUIRREL-CAGEロータ」と呼ばれます。
2. 動作原理
2.1 回転磁界の生成
三相交流電源:三相交流電源がステータ巻線に供給されると、ステータ巻線に交流が生成されます。
回転磁界:ファラデーの電磁誘導の法則によれば、ステータ巻線内の交流により時間変動する磁界が生成されます。三相交流電力には120度の位相差があるため、これらの磁界が相互作用して回転磁界を形成します。この回転磁界の方向と速度は、電源の周波数と巻線の配置によって決まります。
2.2 誘導電流
磁束線の切断:回転磁界がロータ導体の磁束線を切断します。ファラデーの電磁誘導の法則によれば、これによりロータ導体に起電力(EMF)が誘導されます。
誘導電流:誘導されたEMFによりロータ導体に電流が生成されます。ロータ導体が閉ループを形成しているため、誘導電流は導体を通ります。
2.3 ミーティングトルクの生成
ローレンツ力:ローレンツ力の法則によれば、回転磁界とロータ導体の誘導電流との相互作用により力が生じ、ロータが回転します。
トルク:この力によりトルクが生成され、ロータは回転磁界の方向に回転します。ロータの速度は回転磁界の同期速度よりも少し遅くなります。これは十分な誘導電流とトルクを生成するために一定のスリップが必要だからです。
3. スリップ
スリップ:スリップは回転磁界の同期速度とロータの実際の速度の差です。以下の式で表されます:

ここで:
sはスリップ nsは同期速度(分単位の回転数)
nrはロータの実際の速度(分単位の回転数)
同期速度:
nsは電源の周波数fとモータの極対数pによって決定され、以下の式で計算されます:

4. 特徴
起動特性:起動時にはスリップがほぼ1に近くなり、ロータ導体に高誘導電流が生じ、大きな起動トルクを生成します。ロータが加速するとスリップが減少し、誘導電流とトルクも減少します。
運転特性:定常運転では、スリップは通常小さい(0.01〜0.05)であり、ロータの速度は同期速度に近くなります。
5. 応用
誘導電動機は、そのシンプルな構造、信頼性のある動作、および簡単なメンテナンスにより、様々な産業および家庭用アプリケーションで広く使用されています。一般的な応用例にはファン、ポンプ、圧縮機、コンベヤベルトなどがあります。
まとめ
誘導電動機の動作原理は電磁誘導の法則に基づいています。三相交流電源によりステータ巻線内に回転磁界が生成され、この回転磁界によりロータ導体に電流が誘導され、トルクが生成され、ロータが回転します。