
送電線では、送電線の送電塔(最も一般的な支持点)と導体の最低点との間の垂直方向の高さ差をサグと定義します。導体のサグと張力の計算は、架空導体のスパンに依存します。
同じ高さの支持点(つまり、同じ高さの塔)を持つスパンをレベルスパンと呼びます。逆に、支持点の高さが異なる場合、これを不等レベルスパンと呼びます。
同一レベルの支持点AとBの間に自由に吊り下がっている送電線導体AOBを考えると、導体の形状は放物線となり、導体の最低点はOとなります。

上記の架空導体AOBにおいて、Sは垂直に測定したサグです。
サグは送電線の導体の吊り下げに必須です。導体は適切なサグ値で2つの支持点間に取り付けられます。
これは、導体を過度の張力から保護するためです。導体に安全なレベルの張力を許容するために、導体は完全に伸ばされず、むしろサグを持たせています。
導体が設置時に完全に伸ばされた場合、風が導体に圧力を加えるため、導体が破断したり端部の支持から外れたりする可能性があります。したがって、導体の吊り下げ時にはサグを持たせることが必要です。
重要なポイント:
同じレベルの2つの支持点が導体を支えると、導体に曲がった形状が生じます。サグは導体のスパンに対して非常に小さいです。
サグ・スパン曲線は放物線です。
導体の各点における張力は常に接線方向に作用します。

また、導体の全長を通じて導体の張力の水平成分は一定です。
支持点での張力は、導体の任意の点での張力とほぼ等しいです。
送電線のサグを計算する際には、以下の2つの異なる条件を考慮する必要があります:
支持点が同じレベルの場合
支持点が同じレベルでない場合
サグの計算式は、支持点(すなわち、架空導体を支える送電塔)が同じレベルにあるかどうかによって変わります。
同じレベルの支持点でのサグ計算
AOBが導体であるとします。AとBは支持点です。点Oが最低点であり中点です。
L = スパンの長さ、すなわちAB
wは導体の単位長さあたりの重量
Tは導体の張力です。
導体上の任意の点Pを選択します。
点Pから最低点Oまでの距離はxです。
yは点Oから点Pまでの高さです。
上図に基づいて、点Oを中心に2つの力のモーメントを等しくすると、以下のように得られます:
異なるレベルの支持点でのサグ計算
AOBが導体であり、点Oが最低点であるとします。
Lは導体のスパンです。
hは2つの支持点の高さレベルの差です。
x1は低レベルの支持点AからOまでの距離です。
x2 は高レベルの支持点BからOまでの距離です。
Tは導体の張力です。
wは導体の単位長さあたりの重量です。
ここで、
x1とx2の値を計算することで、サグS1とサグS2の値を簡単に求めることができます。
上記の公式は、導体が静止した空気中にあり、周囲温度が正常な場合に使用されます。したがって、導体の重量はその自重です。
氷と風がサグに及ぼす影響には以下のものがあります:
風が導体に特定の力で吹き、氷が導体に付着すると、導体の単位長さあたりの重量が変化します。
風力は導体に作用して、導体の自己重量を水平方向に変化させます。
氷の負荷は導体に作用して、導体の自己重量を垂直方向に下方に変化させます。