配電盤に設置されるサージ保護装置(Surge Protective Devices, SPD)は、主に雷、電力網の変動、その他の要因によって引き起こされる一時的な電圧(サージまたはスパイク)から電気設備を保護するために使用されます。用途や保護要件に応じて、配電盤で一般的に使用されるサージ保護装置の種類には以下のものがあります。
1. タイプ1サージ保護装置(電力入口での一次保護)
用途:建物の主配電盤または電力入口に設置され、外部からのサージ(例えば、電力線を通じて伝わる雷など)から全体の電気システムを保護します。
特徴:
高電圧サージに対する保護に適しており、大きな電流の影響(例えば、8/20マイクロ秒波形で40kA以上)に耐えられます。
通常、建物の接地システムに接続され、強力なサージ導出機能を提供します。
主に外部からのサージが建物内に入らないようにするための一次保護に使用されます。
2. タイプ2サージ保護装置(配電盤レベルの保護)
用途:建物内の配電盤に設置され、下流の電気設備および回路を保護します。これは配電盤パネルで最も一般的に見られるタイプのサージ保護装置です。
特徴:
中程度の強度のサージ保護に適しており、通常、10-40kAの電流の影響(8/20マイクロ秒波形)に耐えられます。
二次保護として機能し、主に建物内で発生する内部サージ(例えば、スイッチング操作やモータ起動によるもの)に対処します。
通常、ブレーカーの近くに設置されたり、配電盤に組み込まれたりして、メンテナンスや交換が容易になります。
3. タイプ3サージ保護装置(端末機器レベルの保護)
用途:コンピュータ、サーバー、家電製品などの終端機器に近い場所に設置され、サージから敏感な電子機器を最後の防衛ラインとして保護します。
特徴:
低強度のサージ保護に適しており、通常、5-10kAの電流の影響(8/20マイクロ秒波形)に耐えられます。
三次保護として機能し、特に通信機器、医療機器、精密機器などの電圧変動に対して非常に敏感な機器を保護するように設計されています。
一般的な形態としては、サージ保護付き電源タップやソケット型のサージ保護装置があります。
4. 組合せ型サージ保護装置
用途:タイプ1とタイプ2のサージ保護装置の機能を組み合わせており、外部および内部の両方のサージ保護が必要な環境に適しています。
特徴:
強力なサージ導出能力と広範な保護範囲を提供し、外部および内部のサージから保護します。
データセンター、病院、工業プラントなど、高いサージ保護要件を持つ重要な施設やアプリケーションで一般的に使用されます。
5. モジュール型サージ保護装置
用途:様々な配電盤、特に商業および工業用の配電盤で広く使用され、インストールとメンテナンスが容易です。
特徴:
モジュール設計により、各モジュールが独立して機能し、一つのモジュールが故障した場合でも、そのモジュールのみを交換すれば他のモジュールに影響を与えません。
通常、インジケータライトやアラーム機能が付いており、サージ保護装置の状態をリアルタイムで監視し、モジュールの交換が必要な場合にユーザーに通知します。
6. 単相および三相サージ保護装置
• 単相サージ保護装置:単相電力システム(例えば、住宅、小規模オフィス)に適しており、220V/230Vの電気設備を保護します。
• 三相サージ保護装置:三相電力システム(例えば、工場、商業ビル、大規模オフィス複合施設)に適しており、380V/400Vの電気設備を保護します。
サージ保護装置の選択における考慮事項
配電盤パネル用のサージ保護装置を選ぶ際には、以下の要素を考慮してください。
• 設置場所:主配電盤、分岐配電盤、または終端機器に近い場所に設置するか。
• 保護レベル:サージの原因と強度に基づいて適切な保護レベル(タイプ1、タイプ2、タイプ3など)を選択します。
• 定格放電電流(In):サージ保護装置が扱うことができる最大の電流の影響で、kA単位で測定されます。実際の適用環境に基づいて適切な定格放電電流を選択します。
• 最大連続動作電圧(Uc):サージ保護装置が長時間にわたって耐えられる最高の電圧であり、これはシステムの定格電圧よりも高い必要があります。
• 応答時間:サージ保護装置がサージに反応する速度であり、速い応答時間が好ましく、機器の適時な保護を確保します。
• 故障アラーム機能:いくつかのサージ保護装置には、デバイスが故障したときに信号を送るインジケータライトやアラームが付いており、タイムリーな交換を促進します。
まとめ
配電盤パネルでは、最も一般的なタイプのサージ保護装置はタイプ2サージ保護装置であり、これが内部サージから下流の電気設備を効果的に保護します。建物が頻繁に雷活動がある地域にある場合は、主配電盤にタイプ1サージ保護装置を設置し、重要な機器の近くにタイプ3サージ保護装置を追加することで、多層の保護システムを作ることが推奨されます。また、商業および工業環境では、メンテナンスと交換が容易なモジュール型サージ保護装置がしばしば選択されます。