エンジニアリング製品またはアプリケーションの材料を最終化するためには、材料の物理的特性に関する知識が必要です。材料の物理的特性とは、材料の同一性が変化することなく観察できる特性のことです。以下にこれらの典型的な特性をいくつか列挙します。
密度
比重
状態変化温度
熱膨張係数
比熱
潜熱
流動性
溶接性
弾性
塑性
気孔率
熱伝導率
材料の密度は、「単位体積あたりの質量」と定義されます。これは、材料の質量と体積の比率として表されます。記号「ρ」で表され、SI単位系ではKg/m3です。
もしmが材料の質量(kg)、Vが材料の体積(m3)である場合、
材料の密度は以下のようになります。
比重は、材料の密度と基準物質または物質の密度の比率として定義されます。単位はありません。時には相対密度とも呼ばれます。比重の計算では通常、水が基準物質として考慮されます。
一般的に物質は固体状態、液体状態、気体状態の3つの状態を持っています。状態変化温度とは、物質が一つの状態から別の状態に変化する温度です。
状態変化温度には以下の種類があります。
融点-固体状態から液体状態に変化する温度(oCまたはK)です。
沸点-液体状態から気体状態に変化する温度(oCまたはK)です。
凝固点-液体が固体状態に変化する温度(oCまたはK)です。理論的には融点と同じですが、実際には若干の差異が見られることがあります。
材料が加熱されると、膨張して寸法が変わります。熱膨張係数は、温度上昇に伴う材料の膨張を表します。熱膨張係数には以下の3種類があります。
直線熱膨張係数
温度変化による物体の長さの変化は「直線熱膨張係数」によって関連付けられます。記号「αL」で表されます。
ここで、‘l’は物体の初期長さ、‘Δl’は長さの変化、‘Δt’は温度の変化です。αLの単位はoCあたりです。
面積熱膨張係数
温度変化による物体の面積の変化は「面積熱膨張係数」によって関連付けられます。記号「αA」で表されます。
ここで、‘l’は物体の初期長さ、‘ΔA’は面積の変化、‘Δt’は温度の変化です。αAの単位はoCあたりです。
体積熱膨張係数
温度変化による物体の体積の変化は「体積熱膨張係数」によって関連付けられます。記号「αV」で表されます。
ここで、‘l’は物体の初期長さ、‘ΔV’は体積の変化、‘Δt’は温度の変化です。αAの単位はoCあたりです。
材料の比熱は、材料の単位質量の温度を1oC上昇させるために必要な熱量として定義されます。記号‘S’で表されます。
ここで、mは材料の質量(kg)、Qは材料に与えられた熱量(J)、Δtは温度上昇です。SI単位系での比熱の単位はJoule/Kg oCです。
材料の潜熱は、材料の単位質量が一つの状態から別の状態に変化する(相変化)際に必要となる熱量または放出される熱量として定義されます。記号‘L’で表されます。潜熱は以下の式で与えられます。
ここで、‘Q’は材料に必要となる熱量または放出される熱量(ジュール)、‘m’は材料の質量(kg)です。SI単位系での潜熱の単位はJoule/Kgです。