インダクタが崩壊するとき(例えば、インダクタ回路のスイッチが突然開いた場合)、高電流ではなく高電圧が生じます。これはインダクタの基本的な性質とそのエネルギー貯蔵メカニズムによって説明できます。以下に詳細な説明を示します。
インダクタの基本的な性質
インダクタの基本的な性質は以下の式で表すことができます。

ここで:
Vはインダクタの両端の電圧です。
Lはインダクタのインダクタンスです。dI/dtは時間に対する電流の変化率です。
この式は、インダクタの両端の電圧が電流の変化率に比例することを示しています。つまり、インダクタは電流の急激な変化に抵抗します。
エネルギー貯蔵
インダクタには電流が流れるとエネルギーが貯蔵され、このエネルギーは磁場に蓄えられます。インダクタに貯蔵されるエネルギーEは以下の式で表されます。
Eは以下の式で表されます。

ここで:
Eは貯蔵されたエネルギーです。
Lはインダクタンスです。
Iはインダクタを通る電流です。
スイッチが開いたとき
インダクタ回路のスイッチが突然開いたとき、電流はすぐにゼロにはならないため、インダクタ内の磁場が貯蔵されたエネルギーを放出するのに時間がかかります。電流が瞬時に変化することはできないため、インダクタは既存の電流を維持しようとします。
しかし、スイッチが開いたため、電流の経路が遮断されます。インダクタは電流を維持できず、その両端に非常に高い電圧を生成します。この高い電圧は電流を継続させようとするものですが、回路が切断されているため、電流は流れず、インダクタは高い電圧を通じて貯蔵されたエネルギーを放出します。
数学的説明
インダクタの電圧-電流関係V=L(dI/dt)によれば、スイッチが突然開いたとき、電流Iは非常に速くゼロに落ちます。これにより、電流の変化率dI/dtが非常に大きくなり、結果として非常に高い電圧Vが生じます。
実際の現象
実際の回路では、この高い電圧は火花放電や回路内の他の部品への損傷を引き起こす可能性があります。これを防ぐために、インダクタと並列にダイオード(フライバックダイオードまたはフリーホイールダイオードとも呼ばれる)を接続することがよくあります。これにより、スイッチが開いたときに電流がダイオードを通って流れ続け、過度に高い電圧が発生することを防ぎます。
まとめ
インダクタ回路のスイッチが突然開いたとき、インダクタは既存の電流を維持しようとし、高電流ではなく高電圧が生じます。しかし、回路が切断されているため、電流は流れず、インダクタは貯蔵されたエネルギーを高電圧を生成することで放出します。この高い電圧は非常に大きな電流の変化率dI/dtによるものです。