スターやデルタ接続において、モーターの回転方向を変更するには、モーターワインディングに適用される位相順序を変更することで達成できます。モーターの回転方向は、電源の位相順序、つまり3相電源がモーターワインディングに到達する順番によって決まります。以下に具体的な操作手順と原理を示します。
スター接続(Y接続)
スター接続の原理:スター接続では、3つのワインディングの一方の端を共通点(中性点と呼ばれる)に接続し、他方の端を3相電源に接続します。モーターワインディングの接続方法により、電源の位相順序がモーターの回転方向に与える影響が決まります。
方向変更の方法
モーターの回転方向を変更するには、任意の2つのワインディングの接続順序を入れ替えることができます。例えば、元の接続順序がU-V-W(時計回りと仮定)であれば、接続順序をU-W-VまたはW-U-V(反時計回り)に変更することができます。
デルタ接続(△接続)
デルタ接続の原理:デルタ接続では、3つのワインディングを端から端まで接続して閉ループを形成し、各ワインディングの一端を電源の一相に接続します。デルタ接続でも、電源の位相順序によりモーターの回転方向が決定されます。
方向変更の方法
デルタ接続においても、任意の2つのワインディングの接続順序を入れ替えることでモーターの回転方向を変更することができます。例えば、元の接続順序がU-V-Wであれば、接続順序をU-W-VまたはW-U-Vに変更することができます。
具体的な操作手順
電源を切る:操作を行う前に、モーターが電源オフであることを確認し、残留電圧がないことを確認してください。
配線をマークする:配線を変更する前に、元の各ワインディングの配線位置をマークして混同を防ぎます。
切断する:モーターワインディングと電源との接続を切断します。
再接続する:任意の2つのワインディングの接続順序を入れ替えます。例えば、元の接続がU-V-Wであれば、それをU-W-VまたはW-U-Vに変更することができます。
ケーブル接続を確認する:再接続後、すべてのケーブルが正しく接続されていることを確認します。
テストする:モーターに再び電源を供給し、モーターの回転方向が期待通りかどうか観察します。方向が正しくない場合は、再度配線順序を調整します。
注意事項
安全第一:電気作業を行う前には、必ず安全を確保してください。これには電源オフや電源検査などの手順が含まれます。
モーターモデル:異なるモーターは異なる配線方法を持つ場合がありますので、配線順序を変更する前に、モーターマニュアルまたは技術データを参照してください。
制御回路:モーターがインバータ(VFD)または他のコントローラーを装備している場合、モーターの回転方向を変更するには、モーターワインディングの配線順序を直接変更するのではなく、コントローラーの設定を通じて行うことが必要になる場合があります。
まとめ
スターやデルタ接続におけるモーターの回転方向変更の鍵は、電源の位相順序を調整することです。任意の2つのワインディングの接続順序を入れ替えることで、モーターの回転方向を変更することができます。スター接続であってもデルタ接続であっても、原理は同じです。操作中に安全手順を遵守し、ケーブルを慎重にチェックすることで、誤った接続による設備損傷や安全上の事故を防ぐことができます。