交流電動機に使用されるスターターの種類
交流電動機用スターターは、電動機の起動時に電流とトルクを制御してスムーズで安全な起動を確保するために使用されます。用途や電動機の種類によって、いくつかのタイプのスターターが利用可能です。以下に最も一般的なものを示します。
1. 直接起動スターター (DOL)
動作原理:電動機が直接電源に接続され、全電圧で起動します。
適用範囲:小容量のモーターに適しており、高い起動電流ですが起動時間が短い。
利点:構造が単純でコストが低く、メンテナンスが容易。
欠点:高い起動電流があり、電力網に影響を与える可能性があり、大容量のモーターには適していない。
2. スターデルタスターター (Y-Δスターター)
動作原理:電動機は星形(Y)接続で起動し、その後デルタ(Δ)接続に切り替えます。
適用範囲:中容量のモーターに適しており、起動電流を減らすことができます。
利点:低い起動電流で、電力網への影響が少ない。
欠点:追加の切り替え機構が必要で、コストが高く、起動トルクが低い。
3. オートトランスフォーマースターター
動作原理:オートトランスフォーマーを使用して起動電圧を低下させ、その後全電圧に切り替えます。
適用範囲:中・大容量のモーターに適しており、起動電圧を柔軟に調整できます。
利点:低い起動電流で、調整可能な起動トルク、電力網への影響が少ない。
欠点:装置が複雑で、コストが高い。
4. ソフトスターター
動作原理:スリッカーコントローラ(SCR)などのパワーエレクトロニクスデバイスを使用して、電動機の電圧を徐々に上昇させてスムーズな起動を達成します。
適用範囲:様々な出力のモーターに適しており、特にスムーズな起動と停止が必要なアプリケーションに適しています。
利点:低い起動電流、スムーズな起動過程、電力網および機械系への影響が少ない。
欠点:コストが高く、複雑な制御回路が必要。
5. 変周波ドライブ (VFD)
動作原理:出力周波数と電圧を変更することで、モーターの速度とトルクを制御します。
適用範囲:速度制御と精密な制御が必要なアプリケーションに適しており、産業自動化や省エネルギーシステムで広く使用されています。
利点:低い起動電流、スムーズな起動過程、可変速度制御、優れたエネルギー効率。
欠点:コストが高く、複雑な制御とメンテナンスが必要。
6. マグネットスターター
動作原理:電磁リレーを使用してモーターのオン/オフ状態を制御し、しばしば過負荷保護装置と組み合わせて使用されます。
適用範囲:小・中容量のモーターに適しており、過負荷保護を提供します。
利点:構造が単純でコストが低く、操作が容易で、過負荷保護を含んでいます。
欠点:高い起動電流があり、電力網に若干の影響があります。
7. 固体スターター
動作原理:固体電子デバイス(例えばスリッカーコントローラ)を使用して、モーターの起動過程を制御します。
適用範囲:スムーズな起動と高速応答が必要なアプリケーションに適しています。
利点:低い起動電流、スムーズな起動過程、高速応答。
欠点:コストが高く、複雑な制御回路が必要。
まとめ
適切なスターターを選択する際には、モーターの出力、負荷特性、起動要件、経済的な考慮事項などに基づきます。各タイプのスターターにはそれぞれ長所と短所があり、異なるアプリケーションに適しています。