整流変圧器の動作原理
整流変圧器の動作原理は、一般的な変圧器と同じです。変圧器は電磁誘導の原理に基づいて交流電圧を変換する装置です。通常、変圧器は共通の鉄心に巻かれた2つの電気的に絶縁された巻線(一次巻線と二次巻線)で構成されています。一次巻線が交流電源に接続されると、交流により磁動力が発生し、閉ループの鉄心内で変動する磁束が生じます。この変動する磁束は両巻線にリンクし、二次巻線に同じ周波数の交流電圧を誘起します。一次巻線と二次巻線間の電圧比は、それらの巻線数比に等しくなります。例えば、一次巻線が440巻、二次巻線が220巻で入力電圧が220Vの場合、出力電圧は110Vになります。一部の変圧器には複数の二次巻線やタップがあり、いくつかの出力電圧を提供することができます。
整流変圧器の特徴
整流変圧器は整流器と共に整流システムを形成し、交流電力を直流電力に変換します。これらのシステムは現代の産業用途で最も一般的な直流電源として広く使用されており、HVDC送電、電車、転轍機、電鍍、電解など多くの分野で利用されています。
整流変圧器の一側は交流電力網(グリッドサイド)に接続され、他側は整流器(バルブサイド)に接続されます。標準的な変圧器と構造原理は似ていますが、独特の負荷である整流器により特定の特性が付与されます:
非正弦波形の電流: 整流回路では、各アームが周期の一部だけ順次導通します。そのため、整流アームを通る電流波形は正弦波ではなく不連続な矩形波に近くなります。結果として、一次巻線と二次巻線の電流波形も非正弦波となります。図は三相橋型整流器(YN接続)の電流波形を示しています。スクラ整流器を使用する場合、より大きな点火遅延角により電流の遷移が急になり、高調波成分が増え、渦電流損失が増大します。二次巻線が周期の一部しか導通しないため、整流変圧器の利用率が低下します。同様の容量条件下で、整流変圧器は一般的な変圧器よりも大型で重い傾向があります。
等価容量: 一般的な変圧器では、一次側と二次側の電力はほぼ等しく(損失を無視した場合)、変圧器の定格容量はどちらかの巻線の電力に対応します。しかし、整流変圧器では非正弦波形の電流により、一次側と二次側の表观電力が異なることがあります(例:半波整流)。したがって、変圧器の容量は一次側と二次側の表观電力の平均値として定義され、これを等価容量と呼びます。S = (S₁ + S₂) / 2 で計算され、ここで S₁ と S₂ はそれぞれ一次巻線と二次巻線の表观電力です。
短絡耐え能力: 一般用途の変圧器とは異なり、整流変圧器は短絡条件での機械的強度に対する厳しい要件を満たす必要があります。短絡時の動的安定性を確保することは、設計および製造において重要な考慮事項です。