1. 水力発電所の基本構成要素と機能
ダム(河川障壁)
機能:ダムは水力発電所において重要な構成要素です。その主な機能は河川を堰き止めて貯水池を作ることです。水位を上げることで大量の水を貯め、これにより水の潜在エネルギーが増加します。ダムは上流の水量を制御し、発電要求や下流での総合的な水利用と洪水調節の要件に応じて貯水池の水位と放流量を調整することができます。
取水及び導水システム
機能:取水口はダムの底近くに設置されています。その役割は貯水池からの水を取り込み発電システムへ導くことです。通常、取水口にはゲートとゴミ取り装置があります。ゲートは水の流入量を制御し、ゴミ取り装置は枝やごみなどの浮遊物が導水システム内に入り機器(タービンなど)を損傷するのを防ぎます。導水システムには圧力トンネルやペンストックなどが含まれ、これらは取水口からタービンまで水を輸送し、この過程で水に十分な圧力と速度を与えるために落差を利用します。例えば、高山水谷にあるいくつかの小規模な水力発電所では、長い距離の圧力トンネルを通じて貯水池から下流にある発電所へ水を導きます。
タービン
機能:タービンは水流のエネルギーを機械エネルギーに変換する核心的な設備です。一定の圧力と速度を持つ水がタービンのランナーに衝突すると、ランナーが回転し始めます。タービンの種類(フランシス・タービン、カプラン・タービン、チューブラータービンなど)によってランナーの構造や水の作用方法は異なりますが、基本的な原理は水流の運動エネルギーと位置エネルギーを利用してランナーを回転させることです。例えば、フランシス・タービンは中高頭水力発電所に適しています。そのランナーは水流の作用により効率的に水のエネルギーを機械エネルギーに変換し、発電機を駆動して電力を生成します。
発電機
機能:発電機は直接タービンに接続されており、その機能はタービンから出力される機械エネルギーを電気エネルギーに変換することです。発電機の動作原理は電磁誘導の法則に基づいています。タービンが発電機のローターを磁場内で回転させると、スタータ巻線に起電力が誘導され、交流が生成されます。例えば、大規模な水力発電所では、発電機の単体容量は数十万キロワットに達し、タービンの機械エネルギーを高電圧の大容量電力に効率的に変換し長距離送電に使用されます。
尾水路および排水口
機能:尾水路はタービンから排出された水が流れ出すチャネルです。これは水を下流の河川チャネルへと導きます。排水口は尾水路と下流の河川チャネルとの接続点です。排水口を通じて水は河川に戻されます。この過程では、下流の河川チャネルへの浸食などの悪影響を避ける必要があり、また生態環境の要件も考慮し、河川の生態流を維持する必要があります。例えば、いくつかの水力発電所では、排水口に消能施設(静水池など)を設けて水流の速度を低下させ、下流の河床や河岸の損傷を防ぐことがあります。
イタイプゥ水力発電所(ブラジルとパラグアイ)
イタイプゥ水力発電所はパラナ川に位置し、ブラジルとパラグアイが共同で建設した大規模な水力発電所です。ダムは高さ196メートルのコンクリート空洞重力式ダムで、総貯水量は290億立方メートルです。イタイプゥ水力発電所には70万キロワットの単体容量を持つ18基の水力発電ユニットがあり、総設備容量は126万キロワットです。この発電所はブラジルとパラグアイに大量の電力を供給しており、南米のエネルギー供給において重要な役割を果たし、また地域の経済発展とインフラ整備にも寄与しています。
アスワン水力発電所(エジプト)
アスワン水力発電所はナイル川に建設され、エジプトの重要なエネルギーインフラです。ダムは高さ111メートルの粘土心岩盤ダムで、貯水池の容量は1689億立方メートルです。アスワン水力発電所の設備容量は210万キロワットです。その建設はエジプトの電力供給、農業灌漑、洪水調節に対して遠大な意義を持っています。ナイル川の水量を制御することで、アスワン水力発電所はエジプトの農業灌漑用水を確保するとともに、エジプトの産業と住民生活に安定した電力を提供しています。