1 電流変圧器の役割
電流変圧器は、電流の大きさを検出し、一次システムと二次システムを分離するために使用されます。電力システムで使用される電流変圧器の一次巻線は一次高電圧システムに直列に接続され、二次巻線は測定装置およびリレー保護装置に接続されます。これは一次高電圧システムでの電流を誘導し、電流比に応じて二次側に低電圧小電流に変換することで、電気エネルギーの計測とリレー保護の目的を達成します。
2 電流変圧器の選択
2.1 電流変圧器の分類
電流変圧器は、異なる分類基準に基づいてさまざまなタイプに分けられます。表1に示す通りです。
2.2 電流変圧器の選択
2.2.1 一次パラメータの選択
電流変圧器の定格電圧は通常、一次システムの定格電圧と同じに選択され、または一次システムの定格電圧よりも少し高い場合もあります。定格一次電流は通常、一次システムの定格電流よりも大きい標準電流値に選択されます。一次システムの定格電流値が小さすぎる場合は、製造の便宜上、定格一次電流値を適切に増やすことができます。
定格連続熱電流は一次システムの最大負荷電流以下であってはならず、定格短時間熱電流は一次システムの短絡電流以下であってはなりません。システムの発展を考慮に入れ、定格動的安定電流は通常、定格短時間熱電流の2.5倍に設定されます。システムの発展に対応するためには、多電流比の電流変圧器を選択することもできますし、電流変圧器の複数の二次巻線に異なる電流比を持つように設計することも可能です。
2.2.2 二次パラメータの選択
電流変圧器の定格二次電流は通常、1 Aに設定されますが、5 Aにも設定することができます。特殊な場合には2 Aを選ぶこともあります。測定クラス、Pクラス、PRクラス、PXクラス、PXRクラスの場合、定格二次電流が1 Aのとき、定格二次出力は通常、15 VAを超えない標準負荷に設定されます。定格二次電流が5 Aのとき、定格二次出力は通常、50 VAを超えない標準負荷に設定されます。
一時的な保護用のTPXクラス、TPYクラス、TPZクラスの電流変圧器の場合、製造の便宜上、定格二次電流は通常1 Aに設定され、二次出力は通常10 Ωを超えない抵抗性標準負荷に設定されます。一次定格電流が数万アンペア以上になる場合、定格二次電流は5 Aに設定することが望ましく、二次負荷は2 Ωを超えないことが求められます。
計量用の電流変圧器の場合、精度クラスは通常0.2クラスに設定されます。一次システムの電流変動が大きい場合には0.2 Sクラスを選ぶこともできます。測定用の電流変圧器の場合、精度クラスは通常0.5クラスに設定されます。一次システムの電流変動が大きい場合には0.5 Sクラスを選ぶこともできます。
2.2.3 型式の選択
保護用電流変圧器の精度限界係数は、通常、一次システムの短絡電流値を電流変圧器の定格一次電流値で割ったものによって計算されます。その結果に基づき、この値以上となる標準値が選択され、通常15、20、25、または30が選ばれます。
10 kV電圧レベルでは、エポキシ樹脂キャスト乾燥型の電流変圧器が通常選択されます。35 kV電圧レベルでは、エポキシ樹脂キャスト乾燥型、合成薄膜絶縁乾燥型、または油浸型の電流変圧器が選択可能です。定格一次電流が大きい場合(3,000 A以上)は、油浸逆型の電流変圧器を選ぶことが望ましいです。
66 kVおよび110 kV電圧レベルでは、油浸型、合成薄膜絶縁乾燥型、またはSF₆ガス絶縁型の電流変圧器が選択可能です。220 kV、330 kV、および500 kV電圧レベルでは、油浸型またはSF₆ガス絶縁型の電流変圧器が選択可能です。その中でも、330 kVおよび500 kV電圧レベルでは、油浸逆型の電流変圧器を選ぶことが望ましいです。直流電力システムでは、光電流変圧器が通常選択されます。