定義: 高電圧の交流が導体を通過するとき、導体の断面積全体にわたって電流は均一に分布しない。この現象は近接効果と呼ばれる。他の電流を流す導体の存在により、導体の表面抵抗が増加する。
2つ以上の導体が近くに配置されている場合、それらの電磁場が相互作用する。その結果、各導体内の電流が再分配される。具体的には、干渉する導体から最も遠い部分で高い電流密度が蓄積する。
導体が同じ方向に電流を流している場合、隣接する導体の半分の磁場は互いに相殺する。したがって、これらの隣接する半分の導体には電流が流れず、代わりに遠くの半分に電流が集中する。

導体が反対方向に電流を流している場合、導体の近い部分の磁場は互いに強化し合うため、これらの隣接する領域で高い電流密度となる。一方、遠い半分の導体の磁場は互いに相殺し、その遠隔地では最小またはゼロの電流が流れる。その結果、導体の近い部分で電流が集中し、遠い半分では電流が大幅に減少する。

直流が導体を通過する場合、導体の断面積全体にわたって電流は均一に分布する。そのため、導体の表面には近接効果は発生しない。
近接効果は、導体のサイズが125 mm²を超える場合にのみ顕著である。これを考慮するために修正係数を適用する必要がある。
近接効果を考慮に入れた場合、導体の交流抵抗は:
表記:
Rdc: 導体の補正されていない直流抵抗。
Ys: 表面効果係数(表面効果による抵抗の増加分)。
Yp: 近接効果係数(近接効果による抵抗の増加分)。
Re: 導体の有効または補正されたオーム抵抗。

直流抵抗Rdcは、ストランド導体表から得ることができる。
近接効果に影響を与える要因
近接効果は主に、導体材料、直径、周波数、構造などの要因によって決まる。これらの要因は以下の通り:
近接効果を軽減する方法
近接効果を軽減する効果的な方法の一つは、アルミニウム鋼芯線(ACSR)を使用することである。ACSR導体では:
この設計は、磁場の相互作用にさらされる表面積を最小限に抑える。その結果、電流は主に外部のアルミニウム層を通じて流れるが、鋼のコアにはほとんど電流が流れない。この構成により、導体の近接効果が大幅に軽減される。