電力システムにおいて、高調波は、周期的な非正弦波交流量をフーリエ級数で分解して得られる基本周波数よりも整数倍の周波数を持つ成分を指し、通常、高次高調波と呼ばれます。
高調波の主な原因は以下の通りです:
非線形負荷の存在:これは高調波発生の主な原因です。例えば、整流器、インバータ、変頻器などのパワーエレクトロニクス装置では、内部の半導体デバイスが動作中に電流と電圧の波形を歪め、高調波を生成します。整流器を例にとると、交流を直流に変換する際、入力電流は非正弦波となり、多くの高調波成分を含みます。また、電弧炉や蛍光灯も一般的な非線形負荷です。電弧炉での鋼製造プロセスでは、アークの不安定性により電流の揺らぎが生じ、高調波が生成されます。蛍光灯の場合、バラストの作用により電流波形が歪み、高調波が生成されます。
トランスフォーマの励磁電流:トランスフォーマが動作中、鉄心内で磁気飽和が発生し、励磁電流が正弦波ではなくなり、高調波を生成します。特に無負荷または軽負荷でトランスフォーマがオンになった場合、励磁電流内の高調波成分はより顕著になります。
電源システムのアンバランス:三相電源システムにおいて各相の負荷がアンバランスである場合、電流と電圧の非対称性が生じ、高調波が生成されます。例えば、一部の工業現場では、各相に接続される機器が異なるため、三相負荷のアンバランスが生じ、電源システムに高調波が現れます。
高調波は電気設備における過熱や損失の増大を引き起こし、設備の正常な動作と寿命に影響を与えます。また、通信システムへの干渉や電力システムでの共振などの問題を引き起こす可能性もあります。そのため、適切な対策が必要となります。