拡散容量の定義
拡散容量は、pn接合が正バイアスされたときに現れる一種の微分容量効果です。これは、半導体デバイス(例えばPN接合やMOSFET)における異なる材料の拡散過程によって引き起こされます。つまり、ドープ領域から少数キャリアが非ドープ領域に拡散し、空間電荷領域を形成し、最終的に容量効果として現れます。
基本原理
PN接合が順方向バイアスされたとき、キャリア(電子と正孔)はそれぞれP領域とN領域から互いに拡散します。拡散過程において、P領域には一定量の非平衡キャリア(電子)、N領域には一定量の非平衡キャリア(正孔)が蓄積されます。これらの蓄積された非平衡少数キャリアは、キャパシタのように充電を貯蔵する能力を持つ一定の電荷貯蔵所を形成します。拡散容量の大きさは、順方向バイアス電圧、温度、および半導体材料の特性に関連しています。順方向バイアス電圧が大きいほど、拡散容量も大きくなります。
拡散容量の形成
交流電圧が半導体接合に印加されると、少数キャリアの濃度は電圧に応じて変化します。これらの少数キャリアは半導体内でランダムに移動し、半導体接合付近に蓄積します。この蓄積は、拡散容量という容量効果に相当します。
拡散容量の表現式は通常以下のように書かれます:
CDは拡散容量です。
Qnは少数キャリアの電荷です。
Vは印加電圧です。
ダイオードにおける拡散容量
ダイオードでは、拡散容量は主に順方向バイアス状態で現れます。ダイオードが順方向バイアスされたとき、少数キャリア(例えばN型半導体における正孔)がP領域に注入され、少数キャリア濃度が変化します。Janeの濃度の変化により、容量効果、すなわち拡散容量が形成されます。
トランジスタにおける拡散容量
トランジスタ(BJT、MOSFETなど)では、ベースとエミッタ間にも拡散容量が存在します。トランジスタが高周波または高速条件下で動作するとき、拡散容量の影響がより顕著になります。なぜなら、これがトランジスタの利得と周波数応答に影響を与えるからです。
拡散容量の影響
半導体デバイスにおける拡散容量の影響は主に以下の点に現れます:
高周波性能:高周波アプリケーションでは、拡散容量がデバイスの帯域幅を制限し、その高周波性能に影響を与えます。
切り替え速度:切り替えアプリケーションでは、拡散容量が切り替えデバイスの速度に影響を与え、切り替え損失を増大させます。
信号歪み:アンプレファイアでは、拡散容量が追加の位相遅延を導入し、信号歪みを引き起こす可能性があります。
計算式
拡散容量の計算は通常、半導体物理学のモデルに基づいて行われます。ダイオードの場合、拡散容量は以下のように近似できます:
Qは電子電荷です。
NAはドーピング濃度です。
μnは電子の移動度です。
ϵrは相対誘電率です。
ϵ0は真空の誘電率です。
VTは熱電圧、n = kT/q、kはボルツマン定数、Tは絶対温度です。
Vbiは内蔵電位です。
応用
高周波回路:無線周波数(RF)およびマイクロ波回路では、拡散容量の影響を無視することはできません。
高速デジタル回路:高速デジタル回路では、拡散容量が信号の立ち上がり時間と立ち下がり時間に影響を与えます。
電力管理:電力管理回路では、拡散容量がスイッチング電源の効率に影響を与えます。