1 実際の試験分析
実際の試験による問題の検出
ある年の10月、当社管轄下の10kVリングメインユニット(RMU)に対する実際の部分放電(PD)試験中に、メンテナンスと試験チームはいくつかのユニットで信号振幅が著しく上昇していることを観測しました(一時的な地電圧(TEV)の読み取り値が約18dB、超音波の読み取り値が約20dB)。これらの大部分は同一メーカーのものでした。そのため、このメーカーのネットワーク全体にわたる15台のRMUに対して統一的な試験が行われ、7台で同様の放電現象が確認されました。
視覚検査により、ケーブル端子部に明らかなトラッキング痕跡とTコネクタに焼けた兆候が見られました。ケーブル端子を分解したところ、いくつかのユニットで重度の放電損傷が確認されました。プラグの内壁、サージアレスタ本体、エポキシ絶縁子の表面、プラグキャップの表面にトラッキングおよびアーク痕跡が見られました。さらに、プラグ本体とキャップの接合部は手で簡単に剥がすことができ、これはクリンプ力が不足していることを示しています。これにより水分が侵入し、金属部品の腐食や絶縁強度の低下を引き起こし、さまざまな程度の表面トラッキングが生じました。影響を受けた部品を適格な部品に交換した後、これらのRMUに対してフォローアップの再試験が行われ、部分放電測定値は正常範囲内に保たれています。
2 試験経験の要約
RMUが部分放電を持っているかどうかを判断するには、「聴く」、「嗅ぐ」、「観察する」、「測定する」に基づいた包括的な評価が必要です。通常の試験は以下の手順に従います:
試験前の準備: 携帯型PD検出器の自己診断を行い、正常に機能することを確認します。懐中電灯と関連する機器文書を用意します。RMU周辺の環境を確認し、作業員と機器の安全を確保した上で試験を開始します。機器の名称と番号がシステム記録と一致することを確認し、各キャビネットのラベルが正確であることを確認します。
初期診断(「聴く」、「嗅ぐ」、「観察する」): RMUのガス圧力が正常であるか確認します。測定前にRMUから異常音がないか聞き、明確な放電音が聞こえた場合は直ちに機器から離れ、設備管理者に緊急対応を報告します。キャビネットドアを開く前に、内部に異臭がないか嗅ぎます。強い焦げ臭がすると、そのユニットを優先的に試験します。RMUに観察窓がある場合、懐中電灯を使用して内部を点検します。ケーブル端子での放電は通常、Tコネクタから接地点まで樹状の放電痕跡を形成し、絶縁プラグには白い溶けたような焼け痕が見られることがあります。
試験手順:
背景値の測定: 背景値とは、10kV高圧室の金属ドアで測定される信号のことです。部分放電からの高周波信号は電磁波であり、全ての方向に伝播しますので、非通電区域でも接地金属表面に一時的な地電圧が誘導されます。RMUを試験する前に背景値を測定することで、高圧室全体のPD状況の概要を得ることができます。
TEV測定: センサーをキャビネットの金属表面に密着させて測定位置に注意を払います。高周波PD信号の波長が短いため、減衰が速く、短い波長ほど急速に減衰します。測定器では、信号振幅が強から弱へと減少する様子が確認でき、これが放電源の特定に役立ちます。
超音波測定: キャビネットドアの隙間で測定を行うことで、空中音波への感度を高めます。
結果評価: 測定データを分析し、深セン局RMU部分放電試験作業指示で規定された判断基準に基づいて結論を導きます。表1参照。