発電機が起動するとき、いわゆる「逆電流」現象が観察されることがあります。しかし、これは通常、起動時に生じる逆起電力(Back EMF)を指し、真の逆電流ではありません。以下にその理由を説明します。
逆起電力(起電力)
発電機が初めて起動するとき、ローターが回転を開始します。ファラデーの電磁誘導の法則によると、ローターがスタータ巻線内の磁場を切ると、巻線内に誘導起電力が生成されます。この誘導起電力の初期方向は、ローターの初期回転方向と磁場の方向によって決まります。ローターの回転方向が予め設定された発電機の出力方向と逆の場合、起動時に逆起電力が観察されることがあります。
原因分析
初期回転方向: 起動時に、ローターの回転方向がスタータ巻線内の電流によって生成された磁場の方向と逆である場合、生成される誘導起電力も逆になります。
磁場の形成: 起動時には、発電機内部の磁場が完全に確立されていないため、最初に生成される起電力の方向が期待される方向とは異なる場合があります。
励磁システム: 同期発電機の場合、励磁システムの起動順序も初期の起電力の方向に影響を与える可能性があります。励磁システムがタイムリーに反応しない場合、一時的な逆起電力現象が発生することがあります。
逆電流
真の逆電流とは、発電機の正常運転時の電流の流れと逆方向に電流が流れる状態を指します。これは通常、システムに故障や設計上の欠陥がない限り、起動時には発生しません。以下に逆電流を引き起こすいくつかの状況を示します。
起動失敗: 発電機が正常に起動して通常運転に入らなかった場合、十分な起電力が生成されず、負荷や他の電源からの電流が発電機に逆流する可能性があります。
制御システムの故障: 制御システムの設定が間違っているか、故障している場合、電流の方向が間違ってしまうことがあります。
外部要因: 例えば、系統電圧の急激な変化により、一時的に電流が逆方向に流れることがあります。
対処方法
起動手順の確認: 発電機の起動手順が正しいことを確認してください。特に同期発電機の場合、励磁システムを正しく設定する必要があります。
制御システムの確認: 制御システムが正常に動作しているか確認し、設定誤りや故障がないことを確認してください。
保護措置: 適切な保護装置、例えば逆電流保護器を設置して、起動時に可能な逆電流による設備の損傷を防ぎます。
監視と調整: 起動前後での監視と調整を行い、発電機の正常な動作を確保します。
まとめ
発電機が起動するとき、通常観察されるのは真の逆電流ではなく逆起電力です。この現象は、起動時に磁場が完全に確立されていないことや、ローターの初期回転方向によるものです。真の逆電流は少ないですが、発生した場合は制御システムの故障や他の外部要因が原因となることがあります。適切な起動手順、制御システムの設定、および適切な保護措置を講じることで、これらの問題を効果的に回避することができます。